今年の税制改正の動向

 昨年12月12日自由民主党より「平成21年度税制改正大綱」が、同24日に民主党より「税制抜本改革アクションプログラム」が公表されました。昨年も両党の改正案を比較対比しましたが、結局自民党の大綱に沿って税制が改正されました。ただ今年の改正案を比較してみると、昨年の民主党の改正案に自民党案が歩み寄っている感も否めません。たとえば道路特定財源の一般財源化、中小企業の税率の減税等です。そこで今年も両大綱の相違点を中心に皆様に報告します。
主要な相違点
1. 中小企業対策
自 民 党
 中小企業軽減税率を22%から18%に引き下げ。21年2月1日以降終了する事業年度から欠損金繰戻還付復活。
民 主 党
 中小企業軽減税率を22%から11%に引き下げ。欠損金繰戻し還付制度凍結の解除。
 「特殊支配同族会社」の役員給与に対する損金不算入制度を廃止する。
 中小企業の交際費損金不算入制度で400万円以下は全額損金参入。
2. 事業継承税制
自 民 党
 非上場企業の経営継承相続人が、相続した株式は一定の条件の下、課税価格の80%に対応する 相続税の納税を猶予する。後継者(主に子)が非上場株式を経営者親族から贈与を受けた場合、 贈与税の全額の納税を猶予する。
民 主 党
 株式についても事業用宅地並みの軽減措置(納税猶予)を適用する。
3. 土地税制
自 民 党
 平成21、22年に取得する土地を5年超所有して譲渡する際の譲渡益について1,000万円の特別控除を創設する。
民 主 党  
 記述なし。
 
4. 所得税税額控除関係
自 民 党
 長期優良住宅について住宅ロ-ン控除を最大600万円に引き上げる。
 新築(性能強化費用相当額)、既存(改修工事)とも、一定の耐震、バリアフリ-、省エネ工事を実施した場合(自己資金ので実施も含む)10%(上限20万円、ただし太陽光発電は30万円)の税額控除をする。
民 主 党
 所得控除を廃止し、「給付付き税額控除」の導入
5. 所得控除
自 民 党
 平成24年から一般、個人年金保険料控除を4万円に引き下げるとともに、新たに介護又は医療保険 料控除(最高4万円)を創設する。
民 主 党
 現行の所得控除は結果として高額所得者に有利になっているので廃止。
 公的年金控除と老年者控除を元に戻す。
6. 金融証券税制
自 民 党
 現行税制(上場株式等の売却益・配当金等にかかる軽減税率10%)を平成23年末まで延長。
民 主 党
 現行の優遇税制を延長。
7. 自動車税制
自 民 党
 4月1日より自動車重量税(国税)、自動車取得税(地方税)を一定の低公害、低燃費車(電気自動車、ハイブリット車等)について免除する。
民 主 党
 記述なし。
 以上、皆様に関係深い箇所のみ、超簡略してまとめました。今後、国会の審議過程において、いかなる修正があるかわかりませんが、法案成立時や変更箇所等、すみやかにご報告します。

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