令和2年税制改正大綱

去る令和1年12月20日、「令和2年度税制改正大綱」が閣議決定されました。皆様に関わりのある改正点で、特にお伝えしたい項目は下記のとおりです。

- 過年度に成立済の税制 -

令和2年1月1日より

給与所得控除、公的年金控除及び基礎控除の見直し(所得税)※個人住民税は令和3 年度より

給与所得控除を一律10万円引き下げ。年収850万円超の者は給与所得控除額の上限を195万円に漸減。ただし23歳未満の扶養家族を有する者等は年収850万円超でも負担増とならない。

公的年金控除を一律10万円引き下げ。所得1,000万円以上の高所得者は、さらに減額。

同一生計配偶者及び扶養親族の所得金額要件を48万円以下(現行38万円以下)に引き上げ。

国、地方税とも基礎控除を一律10万円引き上げ。合計所得2,400万円超の者は控除額が逓減し、2,500万円超の者は基礎控除の適用なし。

令和2年4月1日より(相続税・贈与税)

配偶者居住権が新設。該当する建物及び同敷地の評価額から配偶者居住権を控除し算出。

 以下、令和2年税制改正大綱より -

令和2年1月1日より

NISAの見直し 積立NISA勘定設定期間を 5年間延長、一般NISAは積立枠と株式投資枠の2階建てに改組し5年延長した上、つみたてNISAとの選択適用とする。(所得税)

未婚のひとり親寡婦(夫)控除の創設 生計を一にする子のいる合計所得500万円以下の未婚者にも35万円(住民税は30万円)の控除を設ける。(所得税)

寡婦(夫)控除の改正 寡婦控除の要件に合計所得500万円以下を追加し、生計を一にする子のいる寡夫にも寡婦と同額の35万円控除(住民税は30万円)とし、公平化を図る。

令和2年4月1日より

接待飲食費の50%の損金算入の特例及び中小企業の年800万円まで損金算入特例の2年間延長(法人税)

少額減価償却資産(30万円未満)の全額損金算入制度の2年間延長(法人税・所得税)

5G投資促進税制の創設 5G関連の設備投資を行った法人・個人に特別償却・税額控除を設ける。

令和2年7月1日より

低未利用地等の長期譲渡所得控除の創設 個人が都市計画区域内で低未利用地及び同借地権(市区町村長の確認が必要)を500万円(建物も含む)以下で譲渡した場合、所有期間が譲渡年の1月1日現在5年超の場合100万円の特別控除を設ける。令和4年末まで(譲渡所得税)

令和3年1月1日より

国外中古建物の不動産所得に係る損益通算等の特例の創設 個人が国外中古建物から生ずる不動産所得に赤字がある場合、その赤字部分に係る減価償却費を必要経費に算入できない。それに対し当該建物を譲渡した場合、不動産所得必要経費非算入償却費は取得費から控除する必要がない。(譲渡所得税)

振替納税・ダイレクト納税の届出が電子化 従来は紙ベースだが、電子申請が可能となる。

納税地異動に伴い管轄税務署が変わる場合、新たに振替納税依頼書を提出する必要がなくなる。

令和3年3月31日以降終了する法人より

消費税申告期限延長制度の創設 法人税の申告期限延長(最大1ケ月)を受けている法人に対し、消費税も同様の制度を創設する。延長期間には利子税が課されるため見込み納付が発生すると思われる。

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