令和3年税制改正大綱

去る令和2年12月21日、「令和3年度税制改正大綱」が閣議決定されました。大企業向けの2050カーボンニュートラル投資促進・DX投資促進等新聞テレビでよく報道されますが、皆様に関わりのある改正点で、特にお伝えしたい項目は下記のとおりです。

- 過年度に成立済の税制 -

令和3年1月1日より

国外中古建物の不動産所得に係る損益通算等の特例の創設 個人が国外中古建物から生ずる不動産所得に赤字がある場合、その赤字部分に係る減価償却費を必要経費に算入できない。それに対し当該建物を譲渡した場合、不動産所得必要経費非算入償却費は取得費から控除する必要がない。(資産税)

振替納税・ダイレクト納税の届出が電子化 従来は紙ベースだが、電子申請が可能となる。

納税地異動に伴い管轄税務署が変わる場合、新たに振替納税依頼書を提出する必要がなくなる。

令和3年3月31日以降終了する法人より

消費税申告期限延長制度の創設 法人税の申告期限延長(最大1ケ月)を受けている法人に対し、消費税も同様の制度を創設する。延長期間には利子税が課されるため見込み納付が発生すると思われる。

 以下、令和3年税制改正大綱より -

令和3年1月1日より

住宅ローン控除の延長 新築住宅2021/9/30、既存住宅2021/11/30までに契約した消費税10%の取得住宅で2022/12/31までに入居すれば住宅ローン控除の期間を13年間とする。また合計所得1,000万円以下の者の床面積基準を50㎡以上から40㎡以上へ引き下げる。(所得税)

退職金課税の強化 勤続5年以下の従業員の退職所得控除後残額の2分の1課税を適用除外。(所得税)

固定資産課税の据え置き 令和3年に限り固定資産税の増税をしない。(地方税)

令和3年3月1日より(予定)

M&A促進税制 株式交換方式よるM&Aにおいて交換譲渡株式に係る譲渡益を交換差金20%未満であれば繰り延べ可能とする(法人税)

↓住宅取得等資金の贈与に係る非課税枠の拡大 R3/4/1から12/31までに新築等契約した耐震、省エネまたはバリアフリー住宅用家屋場合、非課税枠を1,500万円(消費税10%摘要契約)それ以外を1,000万円とする。

令和3年4月1日より

雇用促進賃上げ税制 当期の雇用者給与支給額(雇用調整助成金控除前)が前期の同支給額の101.5%以上であれば、増加額(雇用調整助成金控除後)の15%を税額控除する。(法人税・所得税)

中小企業投資促進税制の延長及び業種の拡充 機械160万円、ソフトウエア70万円、器具備品30万円以上かつ合計120万円以上の新品資産購入の場合30%の特別償却が可能だが、対象業種に不動産業、物品賃貸業、飲食業(生活衛生同業組合員に限る)が加わり、かつ2年間延長

中小企業者等に対する軽減税率の延長 令和5年まで15%の軽減税率を据え置き(法人税)

教育資金一括贈与非課税制度の見直し 贈与者死亡の場合、受贈者が23歳未満や在学中の者を除き教育資金未費消残額は全額相続財産に算入する。また受贈者が孫・ひ孫の場合2割加算あり(相続税)

押印不要 確定申告書等大部分の書類に係る押印が不要となる。

改正中小企業経営強化法施行日より

中小企業再編投資損失準備金繰入 認定を受けた中小企業者がM&Aにより取得した株式の価値下落に備えるため取得価額の70%以下の金額を表題の準備金で損金算入できる。5年据置経過後は原則5年間で均等額を取崩し益金に算入する。(法人税)

令和4年1月1日より

電磁的記録保存制度の見直し 仕訳帳、総勘定元帳等一定の国税関係帳簿の電磁化が事前承認から届出に簡素化され、且つ電磁化書類のタイムスタンプを遅滞なく、から2ケ月以内に緩和。

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